Q&A at INTERVIEW
面接の事前準備として、応募する病院施設に関する情報収集を行います。
もちろん、履歴書や職務経歴書の応募書類を作成する段階で、Webサイトやパンフレットからある程度の情報収集はしていると思います。ですが、面接に臨む際は、より詳しくその病院や施設について調べておきましょう。例えば、実際に足を運べば施設全体の雰囲気や職場環境をチェックできます。応募先の病院や施設の知識があれば、面接での回答もより具体的になりますし、何より熱意も伝わりやすくなります。また、情報収集の段階で疑問に思ったことをメモしておけば、面接で質問することもできます。
ほかにも、現場を見ることで、「本当に自分の希望条件に合った職場なのか?」「働きやすい環境なのか?」ということを確認できるのも、メリットのひとつです。
ここからは、看護師の面接ならではの、よくある5種類の質問と良い回答例・悪い回答例をご紹介します。
看護師の求職者への質問は、あまり奇をてらったものはなく、オーソドックスな質問が多いようです。
回答例を確認し、一緒に働きたいと思わせる回答をしてください。
転職理由(退職理由)を教えてください
転職理由や退職理由を述べる際は、たとえ事実であっても、人間関係や待遇面などのネガティブな内容は避けるようにしましょう。業務量が多かったのなら「患者さん一人ひとりと向き合いたい」など、前向きにキャリアアップを目指していように答えましょう。
良い例
後ろ向きな理由ではなく
経験した内容から次のステップを目指していることを伝える
「病棟看護の業務を3年間経験し、基本的な看護スキルや患者様視点に立ったコミュニケーションのとり方を身に付けることができました。これからはさらに高い知識とスキルを身に付け、患者様に寄り添った看護業務に取り組めるよう、より規模が大きく設備の充実した病院施設で働きたいと考え、転職を決意しました」
悪い例
以前の職場の悪口や金銭的な理由は避け
ポジティブな目標を理由にしよう
「先輩看護師からの嫌がらせがあり、同僚たちの関係が悪化してしまったため」
事実であっても「本人にも何か問題があるのでは?」と思わせてしまう。
「業務量に比較して、給与が見合っていないと感じたため」
仕事内容ではなく金銭的な部分にしか価値を認めていないし、そもそも自分本位の理由に感じます。
志望理由を教えてください
どの病院施設にも言い回せてしまうような志望理由はNGです。また、自分の希望条件に合っているという理由だけでなく、病院側にはどんなメリットがあるのかも伝えましょう。応募先施設の特徴や強みで共感したポイントを見つけると、回答も作りやすくなります。
良い例
どの施設にもいえる内容ではなく
「応募先」ならではの特徴を入れて答える
「これまでの業務の中で、患者様の視点に立ち、適切且つ安心できるような看護に取り組むことを実践してきました。貴院を見学した際、大規模な総合病院で多数の患者様がいるにもかかわらず、患者様一人ひとりへ丁寧で温かい看護とサポートを行っていると感じました。いきいきと働く看護師の方々の姿を見て、私もその一員として貢献したいと考え、応募いたしました」
「患者様一人ひとりへ丁寧で温かい看護とサポートを行っている」という部分が、病院への関心の高さを印象付けます。
悪い例
自己中心的な回答や
一般的な回答は避けましょう
「大規模な総合病院なので、今の職場よりも待遇や環境が良さそうだと感じました」
職場ではなく、待遇にしか魅力を感じていないように聞こえます。
「人の病気やケガを治す手助けがしたいと思い、応募しました」
どこの病院でも使える理由です。
あなたの看護観を教えてください
看護師としての信念や、大切にしていることを述べましょう。面接先の病院や施設の方針と共通している部分があると好印象です。
良い例
応募先の看護理念を念頭に
ご自身の看護観を伝えましょう
「患者様一人ひとりへの適切な処置を行うことはもちろん、痛みや精神的なつらさに寄り添ったサポートをすることも心掛けています。患者様との日々のコミュニケーションを大切にし、看護の際にどんな言葉をかけるべきか、ご家族をサポートできることはあるかといったことを常に意識しています」
応募先が患者の家族へのサポートを行っている場合、親和性の高い回答で好印象です。
悪い例
過去の経験をもとにした
具体的な回答を心がけましょう
「特にありません」
「これから見つけられたらと思います」
看護師になった理由すらなさそうに感じます。
印象的な患者様とのエピソードを教えてください
なぜそのエピソードが印象的なのか、またそのエピソードによって自分の仕事にどんな影響や変化があったのかということも伝えるようにしましょう。
良い例
自分の経験を話しつつ
どう成長したかを答えると好感が持たれます
「看護師として働き始めてすぐのころ、先輩の看護師にはいつもなごやかに接している患者様が、私が処置をする際は不満そうな表情でした。当時の私はミスをしないように意識するあまり、患者様とのコミュニケーションをおろそかにしているだけでなく、しかめっ面をしていることが多いと気付きました。それからは笑顔と元気な挨拶、何気ない会話も絶やさないことを心掛け、その患者様から『いつもありがとう』という言葉もいただきました。一方的な処置ではなく、安心感を与えることも看護師の仕事だと気付くことができました」
問題に気付き改善することで、看護師としての成長を感じるエピソードです。
悪い例
趣味などプライベートなエピソードよりも
看護師としての経験を話しましょう
「ある患者様と好きな歌手が同じで、盛り上がりました」
この患者様である理由はない単なるエピソードであり、この経験から何を得たのかがわかりません。
インシデントの経験はありますか?
「ヒヤリ・ハット」とも呼ばれるインシデントは、「確認ミスや連絡事項の伝達ミスにより起きる、重大な事故につながりかねない事態」のことで、ほとんどの看護師にインシデントの経験があるということが前提で質問されます。ですから、インシデントがあることで不採用になるわけではなく、インシデントの経験によってどんな予防策を学び、日々の業務に活かしているのかを聞いているのです。
良い例
失敗の経験から何を学び
どのような対策をとったかを答えましょう
「患者様へ誤って違う薬を渡してしまいました。幸い服用前にいつもの薬と違うと患者様が気付いたため事故には至りませんでしたが、確認不足を深く反省しました。それからは、必ず薬剤名の確認を念入りに行うよう心掛けています。看護師チームでも、インシデントのレポートとして共有しました」
失敗を発生し、次に同じことが起こらないように対策をするだけでなく、ほかのスタッフへの共有をすることで、病院全体で事故が起こらないように尽力しています。
悪い例
反省を感じない理由ではなく
今後の改善案を模索する姿勢を見せる
「処方箋とは違う薬を渡してしまうことがありました。事故にはならず済んでホッとしています」
トラブルを起こした自覚がないだけでなく、反省も見られません。
看護師の面接対策に関する
まとめ
看護師の面接とその対策についてご紹介してきました。ほかにも「自己PRをしてください」「当院で何がしたいですか?」などの質問もありますが、答えの基本としては、ほかの質問と同じです。決して自分本位の答えをせず、自分の看護師としての姿勢や、応募先での仕事への興味をアピールしましょう。
また、最後に「何か質問はありますか?」と聞かれた場合は、自分がその病院や施設でやりたいことができる環境にあるかなどを「やる気が伝わる」質問をしましょう。このような質問は「逆質問」と呼ばれ、看護師の面接でなくても合否を決める重要な役割を持つともいわれていますので、必ず質問をするようにしましょう。
RECOMMENDED
高い知識とスキルを身に付けることで、より大きいフィールドで働きたいという意欲が見えます。