WORKPLACE
「助産師」の仕事は、妊婦の健診(産前指導)や分娩の介助、産後のケア、新生児の保健指導など、出産に関するあらゆる場面で医師と妊婦をサポートすることです。命の誕生に立ち会う責任のある仕事ですが、言葉では言い表せない達成感があります。
しかし、産科医の不足やリスクの高い妊産婦への対応などが明らかになり、周産期医療体制の見直しが検討されるなど、助産師を取り巻く環境は大きく変わりつつあります。周産期医療に欠かせない助産師の役割や具体的な仕事内容、スケジュール、適性について、改めて確認してみましょう。
助産師が活躍する場は、病院と診療所、そして助産所の3つが挙げられます。このうち、大半の助産師が働くのは病院と診療所です(病床数が20以上あると病院、病床数が19以下または入院設備がないと診療所)。もちろん、どちらに勤めたとしても、仕事内容に大きな違いはありません。しかし、診察や検査を受けに来た人を対象とする「外来」と、入院している方をサポートする「病棟」では、内容が大きく異なります。
・外来の助産師
外来の助産師は、妊婦の健診や診察などを行います。妊婦への指導や心と体のケアなどを通じて、正常な妊娠が継続するようにすることがおもな役割です。また、婦人科系の疾患や更年期障害、不妊治療など、産婦人科医の補助業務も担当します。
ほかにも、産後における母乳外来では、授乳の指導や育児の悩みなどについて、産後の母親に対するケアやアドバイスをします。また、乳幼児の健康と成長を支える仕事も、大切な役割のひとつです。
・病棟の助産師
病棟の助産師は、入院している妊婦をサポートし、分娩の介助や、帝王切開で出産した場合の術後ケアなどを行います。病棟では入院が必要な(リスクのある)妊婦を預かっているので、出産を無事に終えるまでは患者として接することになります。
助産師の1日のスケジュールも、外来対応と病棟勤務によって大きく異なります。
08:45
09:00
12:00
13:00
17:00
助産師の資格は、助産師国家試験に合格することで得られます。試験科目は「基礎助産学」「助産診断・技術学」「地域母子保健」「助産管理」の4つ。一般問題と状況設定問題が出題され、合格基準は例年60%以上の正答です。
なお、助産師国家試験を受験するには、看護師免許が必要です。まず、看護師国家試験に合格し、さらに以下の学校(助産師教育機関)で教育を受けることで初めて受験資格が得られます。
<助産師教育機関>
・助産専門学校
・助産課程を持つ大学院または助産専門職大学院
・助産学専攻科を持つ大学もしくは短期大学
・助産課程を持つ大学の選抜試験に合格して単位を得る
・助産課程の大学別科
助産師は、「命の誕生」と「新生児の健康管理」に携わる仕事です。そのため、赤ちゃんが好きな人には最適な仕事といえるでしょう。もちろん、好きなだけで成り立つものではありませんが、「赤ちゃんが好き」という要素は非常に大切な動機になります。
また、心身ともに不安定になりがちな「妊産婦のケア」も求められます。特に、出産が迫る母親に寄り添う「献身的な気持ち」を持っていることは大切です。医療が進んだ現代でも、母子ともに大きなリスクを伴う出産。元気な赤ちゃんの誕生は、それだけ大きな達成感が得られる仕事でもあります。看護師免許が必須ということもあって道のりは長くなりますが、ぜひ挑戦してほしい資格のひとつです。