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保育園で働く看護師の仕事内容

看護師資格を活かして働く場合、就職先や転職先に医療機関を検討する方は多いでしょう。実は、看護師資格があれば保育園で働くという選択肢もあります。小児科勤務や子育ての経験がある方にとって、保育園はスキルを活かしやすい職場です。今回は、保育園看護師の具体的な仕事内容や一日のスケジュールなど詳しくご紹介します。

保育園で働く看護師とは?

保育園は、保護者に代わって日中乳幼児をあずかる施設です。乳幼児が風邪などの病気やその回復期で、集団生活も困難である場合は専用の保育室で一時的にお預かりする「病児・病後児保育」などもあります。

保育園によりますが、厚生労働省は看護師の常駐を促進しており、保育園に1名に限り「保育士」とカウントして看護師を配置しています。医療知識を持った専門職として、教育の場で今までの経験を生かすことが可能です。保育園で働く看護師の仕事は、「子どもと子どもに関わる人達の健康を守る」ことです。保育士とともに子供の健康状態や成長を見守りながら、保護者の育児生活をサポートします。

保育園の一日のスケジュール例

  • 08:00

    出勤・ミーティング
    出勤後、園児の病欠や投薬に関する情報を保育士と共有します。
  • 09:00

    検温・連絡帳の確認
    乳幼児をメインに検温・連絡帳のチェックを行い、気付いたことを保育士に報告します。
  • 10:00

    保育業務の補助
    必要に応じておむつ交換や授乳、散歩や外遊びといった保育業務を補助します。
  • 11:30

    手洗い・うがい指導
    手洗いうがいなどを指導します。夏場はプールの着替えにも付き添い、皮膚の状態もチェックします。
  • 12:00

    昼食
    昼食時、内服が必要な子どもに与薬をおこないます。園児の昼寝時間に昼食や休憩を済ませます。
  • 13:30

    その他業務
    健康便りや記録書類の作成、救急物品のチェック・補充などを行います。
  • 17:00

    退勤
    保護者のお迎え時の対応などが一通り完了したら、保育士に必要事項を申し送り、翌日の準備を整え業務を終了します。

保育園の看護師の主な仕事内容

■園児の日々の体調管理・指導

体調不良や怪我など、日々の園児の体調管理や、食事のアレルギー対応などを行います。園児や職員に向けて、食中毒や感染症予防のための保健指導など、予防医療に取り組むことも保育園で働く看護師の大切な業務です。

■遠足や園外保育などへの同行

遠足や運動会、園外保育などのイベント時には同行し、不慮の事故や病気に対応できるよう備えます。必要であれば病院への付添いなども発生するため、事前に近隣の病院などの情報収集も行います。

■家庭への情報提供

家庭に配る「保健だより」「健康情報」などの作成・発行や、予防接種の情報提供など、保護者向けに保健指導をすることも看護師の仕事です。

医療機関の看護師と保育園の看護師の違い

医療機関の看護師との大きな違いは、相手が基本的に健康な子どもである点です。保育園では、夏場・冬場に起こりやすい感染症の流行予防や、突発的なケガや病気に対する処置を行う必要があります。

子ども達の些細な変化を感じ取ったり、イレギュラーな事態に対して適切な処置をしたりと、主体性のある行動力や適応力が必要です。

保育園で働く看護師の平均年収は?

勤続年数や私立・公立で異なりますが、2019年に内閣府が行った「令和元年度幼稚園・保育所・認定こども園等の経営実態調査集計結果<速報値>【修正版】」によると、常勤看護師の平均年収は400万円~470万円です。病棟で働く看護師の年収は約490万円と言われているため、医療機関で働く看護師のほうがやや多い傾向です。

保育園で働く看護師のメリット・デメリット

転職の際、自分が重要視する働き方と照らし合わせるために、メリット・デメリットをみていきましょう。

<メリット>

■夜勤・休日出勤がない
日曜・祝日は基本的に保育園がお休みになるので、プライベートの予定が立てやすいのがメリットです。また、夜勤や残業がないため、生活との両立や体調管理がしやすいでしょう。日曜や祝日はカレンダー通りのお休みになります。

■子どもと関わることができる
保育園勤務は、子どもの成長を近くで見守ることができるので、子どもと関わることが好きな人にはおすすめです。また、子育て経験者は、保護者と関わる際に経験者の目線でコミュニケーションをとることができるでしょう。

■保育園の質の向上に貢献できる
看護師は、医学的な知識・経験を職員や保護者に提供することで、保育園の質の向上に貢献できます。看護師の配置が園児や保護者の安心感にもつながる重要な役目なので、やりがいを感じられるでしょう。

<デメリット>

■医療機関よりも給料が安い
医療機関は夜勤や休日出勤があり、相応の手当が付きます。しかし保育園は定時の勤務が多いため、手当が付くことは少なく、基本給が同じであっても給料は安くなってしまうでしょう。

■看護師が1人体制の保育園が多い
保育園につき1人の看護師を配属することが多いので、気軽に仕事の悩みを話せるような同業種の仲間ができづらいです。仕事で医療に関して困ったことがあっても、すぐに相談できる相手がいないのは不安に感じるかもしれません。

■求人が少ない
厚生労働省でも保育園に看護師を配置することが推奨されており、徐々に求人が増えつつある保育園看護師ですが、施設当たりの人数が少ないこともあり、求人が多いとは言えません。確実に情報を得るために人材サービスへの登録をおすすめします。

保育園の看護師になるために必要なこと

保育園の看護師になるためには、以下のスキル・資格が必要です。転職を有利に進めるためにも自分の向き・不向きを分析しましょう。

<必要なスキル>

■小児医療やアレルギーの知識
小児医療や感染症・アレルギーに対応できるスキルがあれば、即戦力として認められます。子どもは病状の進行が早いため、小さな違和感に気付く能力も必要です。小児科勤務の経験は必須ではなく、子どもの世話に慣れていて、一緒に遊べる体力があれば問題ありません。

厚生労働省では、アレルギー対応や食事提供などに関するガイドラインを公開しています。一度これらのガイドラインも確認しておくと良いでしょう。

■コミュニケーションスキル
自分の状態を上手く説明できない子どもが相手なので、些細な変化に気づいたり、言いたいことを汲み取ったりといった力も現場で必要とされます。一緒に働く職員や、園児の保護者と関わることも多いため、コミュニケーションスキルは欠かせません。

■保育スキル
勤務中は保育士のサポートとして園児と接するため、0歳児クラスでの保育業務や、歌を歌ったり、絵本の読み聞かせをしたり、一緒にお絵かきをしたりといった機会があります。必須ではありませんが、ピアノや工作などが得意だと園児とのコミュニケーションもとりやすくなります。

<必要な資格>

保育園の看護師になるためには、看護師資格が必要です。准看護師でも可としている保育園もありますが、正看護師を希望する保育園が多いようです。

子どもとの関わりが多い職場であるため、看護師資格のほか小児科勤務経験や子育て経験を持っていると有利です。知識・経験不足による迷いや判断の遅れは、子ども達の健康に影響を及ぼす可能性もあります。採用する保育園としても、資格だけではなくある程度の現場経験を積んだ人の方が安心して仕事を任せられるというのが本音です。

保育園の看護師に向いているタイプは?

保育園の看護師には、医療の現場経験・子育て経験があり、子ども好きな人が向いています。保育業務も仕事の一環になるため、オムツ替えや食事の世話を抵抗なく行える人がいいでしょう。

一つの園に一人で配置されることが多いため、自ら判断・行動しなければならない場面も多いです。医療機関に勤めるよりプレッシャーを感じる人もいます。普段から子どもの状況や病態を把握できるように、保育士や保護者の輪にスムーズに入っていける人が望ましいと言われています。

保育園の看護師に転職する際のポイント<①志望動機例文>

保育園の看護師に転職する際には、保育現場で役立つ自分のスキルや経験をまとめておきましょう。志望動機、自己PRに活かせます。

<志望動機例文>

志望動機には、就職先希望の保育園を選んだ理由を書く必要があります。「なぜその保育園を選んだのか」「自分はそこで何をしたいのか」を明確にしておくと文字にしやすくなります。

■例文1:子どもの病気予防・早期発見に携わることができるから
医療機関に勤めていた時、対応が遅れたために大きな手術に発展した症例を何度も経験しました。もっと早く対応できれば子どもが辛い思いをしなかったのに、と思ったのが保育園看護師を目指したきっかけです。こちらの保育園では、障害や手術を経験した子どもを積極的に受け入れているため、自分の目指すべき医療に携わることができると考えました。看護師として日常の健康管理はもちろん、怪我や体調変化にいち早く対処できるスタッフになりたいです。

■例文2:保護者のサポートに関わりたいから
前職では、仕事と子どもの看病を両立する保護者の苦労を多く見てきました。私自身も仕事と子育ての両立に苦労した経験があり、何かサポートできる方法はないか考えていたところ、保育園看護師の仕事を見つけました。仕事と子育ての両立は体力的にも精神的にも想像を超える大変さで、保護者が疲弊してしまうケースも多くあります。こちらの保育園では病児保育や保護者の相談窓口を設けているため、より密に保護者のサポートに関われるのではと考え応募に至りました。

■例文3:イベントを乗り越える子ども達をそばで見守ることができるから
前職では、子どもが懸命に治療に取り組む姿を毎日見てきました。院内でも定期的にイベントを開催し、イベントを励みに治療に前向きになる子どもが多くいたのです。こちらの保育園ではイベントに力を入れているため、どのような内容であれば子ども達の励みになるのか、私の経験を活かすとともに学ばせていただきたいと思いました。看護師として、子ども達が怪我なくイベントを楽しめるように心を配ると同時に、毎日を健康に過ごす手助けをしたいです。

保育園の看護師に転職する際のポイント<②自己PR例文>

自己PRは、入職後どのように自分の特性や特技を活かせるかを表現しましょう。
あなたが保育園の雰囲気に合っているか、長く働けるかを判断されていることもあります。

■例文1:趣味・特技が保育の現場に活かせる
私は前職で、院内の感染委員長を長年務めてきました。看護業務外の時間で、院内掲示物の作成や講習会の資料、感染症や予防接種など時期に合わせた情報発信を行った経験があります。趣味のイラストを利用して作成した掲示物や資料が好評でした。掲示物やお便りにもこの経験を活かし、楽しく分かりやすい健康情報を発信していきたいです。

■例文2:チームワークで協調性をアピールする
前職では、外来主任として働いていました。外来では毎日200人ほどの患者様と関わり、処置や注射、診察担当に分かれて協力して業務をこなさなければなりません。看護師もそれぞれ得意不得意分野があるため、能力を見極めて配置をしました。医療は責任感だけではなく、チームワークが大切です。保育園でも一人の子どもに多くのスタッフが関わります。これまでに医療の世界で獲得したチームワークを武器に、保育園でも健康を預かるスタッフの一員として積極的に子ども達と関わっていきたいです。

こんな人におススメ

保育園の看護師は、医療機関の看護師と異なる点が多くあります。一人で担当しなければならないことも多く、慣れるまでは挑戦の連続です。しかし子どもの成長をそばで見守ることは、大きな責任と同時にやりがいを感じられます。

保育園看護師は、定時で帰れることが多くプライベートを確保しやすい環境です。「保育士等宿舎借り上げ支援事業」といった国が自治体や保育園に対して住宅費用を補助する政策があり、自治体によっては、保育士のほか保育補助者、看護師など保育施設で勤務する職員も補助の対象としています。

また、下記のいずれかの考えに当てはまる方には特におすすめの職場です。

1.子どもとのふれあいが好きな方
2.小児看護や地域看護に関心がある方
3.保育士や保護者との協力体制にやりがいを感じられる方
4.プライベートと仕事の両立を考えられている方

いかがでしたでしょうか?
小児科で働いた経験がある、子どもが好きという方は、保育園を転職先として考えてみてください。

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