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デイサービスで働く看護師の仕事内容

看護師資格を活かせる転職先の一つに「デイサービス」があります。「デイサービス」とは、介護保険サービスの1つで入浴や食事、排泄など日常生活の介護を受けられる日帰り施設のこと。ご家族の介護負担を減らせることから、サービスを提供する事業者が増えてきています。

デイサービスで働く看護師の仕事は、主にご利用者の健康チェックや医療処置です。ここでは、デイサービスでの1日の流れや具体的な仕事内容、どのような人が向いているかなどを詳しく紹介します。

デイサービスで働く看護師とは?

デイサービスは、正式名称を「通所介護」といいます。介護保険において、要支援1~2または要介護1~5の認定を受けている高齢者が自宅からデイサービスセンターに日帰りで通うサービスです。

デイサービス利用時は、入浴、食事、排泄などの介護や簡単な機能訓練を受けることができることはもちろん、レクリエーションや季節の行事を行うデイサービスも多いです。一人での外出が困難になり、自宅に閉じこもりがちになってしまう高齢者にとって、同年代の人と交流する場として機能するほか偏りがちな栄養をしっかり摂ることができます。

近年様々な種類のデイサービスが増えてきています。例えば、カルチャーセンターのようなレクリエーション中心の施設、衰えた筋肉などの運動機能を取り戻す訓練をしっかり行うデイケア、高齢者の大きな問題である口腔ケアを強化しているセンター、さらにはお泊りサービスを実施するところまで。さまざまな需要に応じ、デイサービスの範囲は大きな広がりを見せています。
デイサービスのご利用者の健康管理をサポートするのが、看護師の役割となります。

デイサービスの一日のスケジュール例

  • 08:00

    出勤・ミーティング
    その日のスケジュールを確認します。
  • 09:30

    ご利用者のお出迎えとバイタルチェック
    送迎車でやってきたご利用者をお出迎えします。健康状態やバイタルサインを確認し、入浴の可否を判断します。
  • 10:30

    入浴後の処置
    軟膏の布や湿布の貼付などに加え、褥瘡の処置などをおこないます。
  • 12:00

    昼食時対応
    内服管理や服薬介助、血糖測定などをおこないます。
  • 13:00

    休憩
  • 14:00

    看護記録作成
    ご利用者のバイタルサイン・日中の健康状況・食事摂取量・排泄回数・処置内容などを記録します。
  • 15:00

    レクリエーション・リハビリ時の対応
    ご利用者の見守り、健康状態の確認、リハビリテーションの効果測定等をおこないます。
  • 16:00

    ご利用者のお見送り
    ご利用者の健康状態や事故防止などに気を配りながら、最後の方までお見送りします。
  • 17:30

    業務終了・退勤
    後片付けや翌日の準備を行って、業務終了です。

デイサービス看護師の主な仕事内容

デイサービスで働く看護師の仕事内容は多岐に渡ります。基本的に「ご利用者が望む生活を実現するためのサポートをする場所である」ということを念頭に置いておくと、デイサービスならではの看護師の働き方を理解できると思います。

■健康チェック

ご利用者の健康状態を把握するため、到着時に体調を確認しバイタルサインのチェックを行います。ご利用者の1日の状況を看護記録に残すことも、大切な仕事です。
ご利用者は高齢者となりますので、 小さな異変を見逃さない観察力が求められます。前回のご利用時との違いを見つけるために記録をしっかりとることも重要です。

■服薬管理

ご利用者の中には、昼食後に薬を飲む人もいます。誤飲や飲み忘れがないよう、薬を渡したり、内服を介助したりするのも看護師の役割です。

■医療ケア

褥瘡や創部の処置、インシュリン注射などの医療行為を行うこともあります。これは、介護職の方には資格上許されていない重要な役割です。また、ケガや体調不良といった緊急時には、応急処置や医療機関への連絡を行います。これらの業務は一般的な病院で病棟看護師を経験している人であれば、問題なく行える内容といえるでしょう。

病院やクリニック勤務・デイケアとの違い

■病院やクリニック勤務との違い

病院やクリニックで勤務するときは、医師の指示のもと業務を行います。しかし、デイサービスには医師がいません。加えて、看護師1人体制であることが多く、日頃のご様子と変わりないか予防的視察が非常に重要になります。そのため、連携している医師に連絡や相談をしたり、ご家族との密なコミュニケーションが必要になったりします。

■デイサービスの種類

デイサービスとデイケアは、日帰りで施設に通う点では同じです。しかし、デイサービスが入浴や食事など日常生活の介護が中心なのに対し、デイケアはリハビリが中心のため、機能訓練に関連した業務になります。他にも、認知症ケアや大規模のデイサービスなど定員人数が違う施設もあり、どんな目的を持っているのか?を理解する必要があるでしょう。

デイサービス看護師の平均年収は?

厚生労働省「令和2年度介護事業経営実態調査結果」によると、デイサービスで働く看護師の平均月収は正看護師で35万4,319円、准看護師で32万6,620円でした。

平均月収×12ヶ月で計算すると、正看護師の年収は425万1,828円、准看護師の年収は、391万9,440円と想定されます。病院看護師の月収は平均450万円ほどと言われていますので、病院看護師より低いのが現状です。これは、夜勤や宿直、早番、遅番がないのが理由として考えられます。

デイサービス看護師のメリット・デメリット

続いては、デイサービス看護師として働く場合のメリットとデメリットをそれぞれ紹介します。

<メリット>

■ワークライフバランスが保ちやすい勤務形態

一番のメリットは、やはり規則的な勤務形態でしょう。ほとんどのデイサービスは、平日のみ運営されていることが多く、日勤のみで勤務時間が固定されており、日曜が休みのところも多いです。育児や家事との両立がしやすくワークライフバランスを保ちやすい職場と言えるでしょう。

■看取り対応や緊急対応が少ない

デイサービスは施設と違い看取りの場面がなく、緊急対応は発生しますが、医師が不在のため救急と速やかに連携します。デイサービスを利用するのは、比較的元気な人が多く、体調不良のご利用者は利用をお休みします。

■コミュニケーションがとりやすい

ご利用者の中には、他の人との交流を目的に通われる方も多いです。健康的なご利用者が多いため、コミュニケーションがとりやすく円滑に仕事を行いやすいと考えられます。

<デメリット> 

■手取り額が比較的少ない

デメリットとしてあげられるのは、病院看護師より給料が低いことです。これは夜勤や残業が無いことが主な理由といえます。

■医療ケアのスキルアップには向かない

医療的ケアや医療行為を行うケースが少ないため、看護師としてのスキルアップの場にはあまり適していないでしょう。入浴や食事の介助、レクリエーションなど、介護士や理学療法士、作業療法士たちをサポートするといった看護師業務以外の仕事を担当することもあります。

■求人が見つかりづらい

デイサービス看護師は比較的働きやすい仕事であり、人の入れ替わりが少ないため、求人もあまり出ていません。求人自体が非公開であることも多いので、転職サイトや人材サービス会社に登録した方が探しやすいでしょう。 

デイサービス看護師になるために必要なこと

デイサービス看護師の主な役割は、ご利用者の健康管理や内服管理、医療処置です。そのため、病棟看護師を経験している人であればデイサービスで働けます。ここでは、デイサービス看護師に必要なスキルや資格、向いているタイプを紹介します。

<必要なスキル>

■一般的な看護技術

ほかの現場と同様、看護師としての一般的な知識や技術は必須です。デイサービスには医師の配置がなく、看護師も1人の場合がほとんどです。専門性が高い看立てが必要になる場面はあまりありませんが、基本的には看護師1人で利用者の健康を管理することになるため、一定の知識や技術は欠かせません。

■アセスメントスキル

1人で何人もの利用者さんの身体状況を看るため、鋭い観察力や判断力が求められます。健康状態や必要な介助の程度を正確に評価するアセスメントスキルも必要です。

■コミュニケーションスキル

デイサービスではご利用者とのやりとりはもちろん、ご家族や介護スタッフとの連携も重要です。ご利用者は施設の周辺に住む高齢者でリピーターが大半ですから、その環境に早く馴染むためのコミュニケーション能力は必須といえるでしょう。
また、ご利用者に楽しい時間を過ごしてもらえるようにすることが大切です。施設の規模は小さく、スタッフも医療の専門家は自分以外いないという場面も多くなります。 日頃の会話や観察、記録を元に看護師として正しい判断を行う。そのことに自信を持って臨めるのであれば大丈夫です。

<必要な資格>

一番必要なのは、正看護師または准看護師の資格です。特に病棟での看護経験があると望ましいです。看護師は、介護の基礎資格である「介護職員初任者研修」を修了していると見なされるため、介護に関する資格を改めて取る必要はないでしょう。

デイサービス看護師に向いているタイプは?

デイサービスやデイケアを利用するのは65歳以上の高齢者のため、高齢者とのコミュニケーションが好きな人は向いているでしょう。また、老年介護の分野に興味がある人にとっても、元気な高齢者との日々は良い経験になります。デイケアの場合、施設によってリハビリの内容が異なりますから、 より興味があり勉強したい分野のものを行っているところを選択するといいでしょう。デイサービスやデイケアは、病気やケガの治療の場ではありませんから、複雑な医療処置を行う必要はありません。いわゆる病院の看護師と違う働き方を探している人は、有料老人ホームと並ぶ就職先として考えてもいいでしょう。介護職員とともに入浴などの身体介助やレクリエーションを担当する場合もあります。そのため、体を動かすことが苦ではなく比較的体力がある人は、デイサービス看護師向きです。

また、常勤ではなく週1~3日のようなパートタイムでの求人が多いことも特徴。日勤で就業時間が延びたり、ずれたりすることもほぼ発生しませんので、規則正しく働きたい人や、ワークライフバランスを大切にしたい人にも最適です。

デイサービスに転職する際のポイント

事前にしっかり聞いておきたいのは「どのような看護師の業務があるか」と「看護師以外の仕事をどの程度担当するか」です。 食事の介助や点眼、軟膏塗りの補助などは看護師でなくてもできる仕事ですが、実際のデイサービスはスタッフ数が利用者に対してギリギリであることが多く、健康管理という本来の仕事を超えた補助業務を求められます。施設によっては利用者の送迎車への同乗など、 看護師の枠を大きく超える業務まで含まれている場合もあり、就業後に問題になるケースもあるようです。面接の場では聞きにくかったことは、あとでコンサルタントを通じて聞くという方法もあります。

転職するときには、これまでの経験とデイサービスの特徴をマッチさせた志望動機や自己PRを考える必要があります。ここではポイントを押さえた志望動機の例文を紹介します。

<志望動機例文>

■例文1:総合病院で得た学びと経験を活かす

私は2年前から、総合病院の消化器科に勤務しております。5年前に出産した後も病院内の保育所に子供を預けて働いていました。消化器科病棟では、短いスパンながら高齢者との関わりが多いです。やりがいを感じる一方で、高齢者ともっと長期的に関わりたいという思いも出てきました。また、退院後在宅に戻ってから、デイサービスを楽しまれている方も多いです。そのことからデイサービスについて関心が高まり、今回志望させていただきました。消化器科での勤務経験は、デイサービスでも必ず活かせると考えております。

■例文2:転職をきっかけにやりたい分野に挑戦

私は総合病院で7年間勤務していました。出産を機に退職しましたが、子供が4歳になり、育児も落ち着いてきました。そこで再び看護師として働きたいと考えたとき、介護分野の看護にチャレンジしようと決心しました。病棟勤務時には高齢者の方と関わることが多く、介護分野にも関心を持っていたからです。ブランクはありますが、7年間の経験で得た知識とスキルを活かして、貴施設に貢献したいと考えています。

<自己PR例文>

■例文1:病棟勤務経験を活かした自己PR</h4>

私は約10年総合病院で勤務し、夜勤も経験してきました。現在も家事と育児、仕事を両立しており、体力には自信があります。現在勤務している内科病棟は高齢者も多く入院されており、最初はなかなか心を開いてくださらなかった患者さんとも丁寧に話を続けるうちに、笑顔で接してくださるようになりました。内科病棟勤務で、よりコミュニケーションスキルを高められたと感じています。今まで培った看護スキルと、体力、高齢者とのコミュニケーションスキルを活かして貴施設に貢献したいです。

■例文2:高齢者との接遇経験を活かした自己PR

4年前に子育てのため退職しましたが、以前は8年間総合病院で勤務しておりました。近所に祖母が住んでおり、時々子どもを連れてたずねます。そこで祖母の友人と会うことが多く、私はその方たちと交流するのがとても好きです。これは、私の看護スキルとは別のもう1つのスキルであり、2つのスキルを貴施設で活かせたらと考えました。

転職成功者コメント

■ブランク明けでも安心して勤務可能です

病気やケガをしているご利用者は、デイケアにおいてリハビリする人を除けばいませんから、生命の危機や緊急事態に遭遇することは極めてまれです。比較的元気ご利用者も多く、採血などの医療処置も行いませんので、ブランク明けでしたが安心して勤務することができています。

■忙しさはあまりなく、ワークライフバランスを保ちながら働けます

病院やクリニックのように医療の現場ではなく、利用者の健康を管理するといった観察と記録、コミュニケーションが中心になるので慌ただしさはそこまで感じられません。朝8時台から夕方17時前後の勤務体系で働いているため、夜勤もなく家族との時間も取れています。

こんな人におススメ

今回は、デイサービスで働く看護師の仕事内容や年収、向いている人や必要なスキルを紹介しました。

デイサービスセンターは、医療機関以外の職場を探されている看護師さんや、ワークライフバランスを実現したい看護師さんにオススメの職場です。 治療の場ではないため、比較的医療処置が少なく、ご利用者とじっくり密なコミュニケーションが取れます。ご利用者の生活を支援できるというメリットはもちろんのこと、残業時間が少ないことや施設によっては日祝日にお休みが取れるということもあり、家庭との両立や趣味・プライベートの時間を重視される看護師さんにも働きやすい職場といえます。

また、下記のいずれかの考えに当てはまる方には特におすすめの職場です。

1.高齢者とふれあうことが好きな方
2.老年看護の分野に興味がある方
3.医療処置が少なめの環境をお探しの方
4.ワークライフバランスを重視される方

志望動機や自己PRの例文も掲載しましたので、転職を考えている方はぜひ参考にしてください。

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