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クリニックで働く看護師の仕事内容

病棟での勤務は残業の多さや夜勤から、体力的な負担が大きくなりがちです。プライベートの時間を確保したいという理由で日中の勤務が中心となるクリニック勤務を希望する方もいるでしょう。
この記事では、現在転職を検討している方向けに、クリニックの仕事は病床のある病院とどう違うのか、実際の業務はどうなのかなど気になる点をまとめました。クリニックへ転職する際の自己PRの書き方についてもご紹介しています。

クリニックで働く看護師とは?

クリニックは診療所や医院と呼ばれる町のお医者さんです。いわゆる開業医と呼ばれる医師が経営者となり、風や流行病など身近な病気予防や治療の他、糖尿病や皮膚病といった慢性的な疾患の管理や治療を行う専門分野の診療を行います。

総合病院が主要ターミナル駅やバスセンターなど交通の便を配慮して設立されているのに対し、クリニックは住宅街の近くなどに立てられることも多く、クリニックが外来診療を中心に行い、地域の患者さん一人一人と向き合いたいという目標に関係があります。患者さんは重症者よりも軽症もしくは慢性疾患を抱える方が多く、入院設備を持つところは少なく大きな手術対応をしているところはほとんどありません。
日頃の体調管理から突発的なけがや病気まで何でも相談できる「かかりつけ医」として愛されています。そんな地域の住人の健康を支える一助に看護師は求められています。

クリニックの一日のスケジュール例

  • 08:30

    出勤
    クリニック内の換気・清掃・診療に必要な物品の準備をします。
  • 09:00

    午前の診療受付開始
    受付開始から患者さんを呼び始めるまでは一番忙しい時間帯です。医師の診察がスムーズに進むよう、患者さんの呼び入れや処置、診療の補助を行います。
  • 10:00

    問い合わせ
    急患などの電話の問い合わせに対応します。
  • 12:30

    午前の診療終了
    片付けをします。薬品メーカーから医師との面談希望があれば、看護師が案内する場合も。
  • 13:00

    昼休み
    クリニックビル内に休憩室があり、その中で休憩する人もいますが、外出も可能。休憩時間が長いため、自宅に一度帰宅するスタッフもいます。
  • 15:00

    午後の診療受付け開始
    受付開始後、午前と同様、医師の診療介助につきます。
  • 16:00

    患者のケア
    点滴など長時間にわたる治療を行う場合は、患者とじっくりコミュニケーションをとることも。
  • 18:00

    午後の診療終了
    診察室や処置室内を片付け、物品補充・戸締りをし、終業です。

クリニック看護師の主な仕事内容

クリニックは救急外来がなく、入院設備も整っていないところがおおいため、外来診療がメインです。看護師の仕事は、総合病院で働く場合などと比べると看護以外の事務業務も含まれるのが特徴です。

■看護業務

クリニック看護の仕事は、医師の診療補助が中心で、診療を受ける前の問診やバイタルの測定に始まり、検査の説明や治療の補助、採決、駐車、点滴の対応など、一般的な内科で行われる多くの診療に関わります。
その中でも医師の専門分野によって大きく異なります。心臓血管外科専門医のクリニックであれば、心臓カテーテル検査の介助や術後の管理。消化器外科専門医のクリニックであれば、上下内視鏡の介助などが業務に含まれます。

■事務業務

小規模で人員も限られていることから、クリニック内の清掃、医療器具の洗浄や消毒、薬品や備品・器具の発注、診察室の清掃と幅広い業務をほかのスタッフと協力して担当することも多いです。
受付担当がいない極小規模のクリニックの場合は、患者の受付や呼び出し、業者とのやり取り、電話対応まで行う場合もあります。
また、クリニックは電子カルテを導入していない場合が多いため、事務スタッフが忙しい時はカルテ出しを手伝うことも。受付に患者さんが集まったときに、受付対応の補助を行う場合もあります。

クリニックと病院・クリニックごとの違い

■クリニックと病院との違い

病院は、救急指定ではなくても突然重傷者が来院することも稀ではありません。それに比べ、クリニックには重症者が来院するケースはほとんどなく、重症と思われる患者さんには、大病院へ紹介状を出します。
診療補助以外の事務作業も担当するなど、国公立や大学病院、総合病院では考えられない守備範囲ですが、医師としっかりタッグを組んで診療が行えること、身近な病気(患者)と向き合った看護ができること、そして何より地域の人々に愛される看護師になれることは、ほかの職場では得がたいクリニックならではのポイントといえるでしょう。

■クリニックの規模や診療科による違い

町のお医者さんであるクリニックは、総合病院などと違い「即戦力」の看護師を求めている場合がほとんどです。これは、大勢の看護師を雇うほど患者数が多くなくて、診療スペースも限られているためで、ほかの施設で実務経験を積んだ看護師の求人が多い傾向があります。ちなみに、クリニックで最も多い診療科は内科で、注射と点滴、採血の機会が多いことから注射に関するスキルを持っている人は有利です。

小児科や産科の専門クリニック、慢性疾患に特化したクリニック、健診や人間ドックだけを行うクリニックも存在し、それぞれ求められるスキルは異なります。さらに、その分野の世界的権威が開業したクリニックもあり、 そういった場所では大学病院と同等以上の医療設備が整っていることもあるようです。専門医のクリニックで働くときは、診療する内容に関する知識や経験が求められますし、 仮に未体験の科であっても「勉強する姿勢」は欠かせません。いずれにしても小さな職場になりますので、医師や同僚の看護師、スタッフとの円滑な関係を築くことが何よりも大切です。

クリニック看護師の平均年収は?

クリニックの平均年収は約398万円。クリニックが自費診療を行う事業所かどうかによっても異なります。夜勤がある病棟看護師の給与平均が約480万円ですから、約80万円近く差があります。

クリニックでは夜勤や残業がないため病棟に比べ年収が下がります。私生活とのバランスを考え、働く時間が不規則でも高めの年収を得るか、多少年収が下がってもプライベートと両立しやすい仕事をとるかを選ぶとよいでしょう。

クリニック看護師のメリット・デメリット

転職にあたり、クリニック勤務のメリット・デメリットをあらかじめ知っておきましょう。納得したうえで転職活動をするには、自分が希望する働き方に適しているのか見極めが必要です。

<メリット>

■夜勤・オンコール対応が少なくワークライフバランスがとりやすい

診察時間が平日に限られているクリニックが多く、土日に診療していても昼だけという場合が大半です。このため、看護師の求人も日勤がほとんどで病院のような夜勤をする必要がありません。基本的には入院患者もおりませんので、オンコールの対応も基本的にはありません。午前と午後で診療を区切り、昼休みがきちんと確保されていることや休診日がそのまま休日になることから、不規則な生活になりがちな看護師の仕事でもワークライフバランスの確保が実現できます。

■アットホームな雰囲気

職員数が少なく、家庭的な雰囲気である事が多いです。付き合いも長くなるため、お互いのプライベートを相談しあえる仲間に出会えることも。

■研究発表や委員会がない

病棟に長くいると、委員を任されたり、研究発表を命じられたりすることは避けられません。クリニックではこうした活動がないため、時間外に自分の時間を奪われることが少ないです。

<デメリット>

■看護スキルの上達上限・幅広い業務を求められる

クリニックでは、看護技術が院長の専門分野により限定される場合もあります。新たな技術を取り入れ、積極的に看護技術を学びたい、という看護師には物足りなく感じるでしょう。また、看護師の人数が少ないことから、前述のように幅広い職務をこなすことが求められますので、不得意のジャンルがある場合は改善が求められるかもしれません。ただし、数は多くありませんが、各分野のトップレベルの専門医が開業しているクリニックでは、最先端の医療を大きな病院より身近に経験することができ、 知識やスキルを身に付けることが可能です。医師も看護師も限られた人数で患者に対応するため、指示を待つのではなくみずから主体的に動ける人ほどクリニックに向いています。

■人間関係が濃い

クリニックは職員数が少なく、患者さんも近隣の方が多いです。決まった人間関係の中にいるのが苦手な人は窮屈に感じるかもしれません。医師や看護師、スタッフとの相性が良くないと仕事に影響が出ますので、人間関係の重要性はほかの施設よりも重要になることもあります。 なお、クリニックを開業した医師は、大きな病院で働く医師に比べ、独自のスタイルにこだわる方が多い傾向があります。このあたりのことは頭の隅に入れておきましょう。

■求人が探しにくい

医師によっては近隣の患者さんに求人を出していると知られたくない方もいます。こうしたクリニックは、非公開求人のため自分で探すのが難しいです。そのため、人材サービスに登録した方が探しやすいかもしれません。

クリニックの看護師になるために必要なこと

クリニック看護師へ転職を希望する場合に必要とされるスキルや資格についても確認しておきましょう。

<必要なスキル>

■全科共通の看護技術

どのクリニックでも共通して言えるのは、採血・筋肉注射・皮下注射・血管確保などの全科共通の基礎的な看護技術は必須です。クリニックは人数が少ないので、総合病院に比べて看護師に任される範囲が広いです。そのため基礎的な看護技術と知識は求められる傾向があります。

■各科特有の看護技術

全科共通の技術に加え、各科特有の看護技術を持っているとベストです。整形外科ならギプス巻きの介助、消化器科なら内視鏡の介助などがあります。そういった各科ごとの特徴も事前に知っておくとよいでしょう。

<必要な資格>

看護師の資格のみです。消化器科で働くなら内視鏡検査技師を持っていると喜ばれますが、これだけが採用のポイントになるケースは少ないでしょう。

クリニック看護師に向いているタイプは?

クリニックは地域に根差した医療を目指しているので、看護師の接遇がそのままクリニックの評判に直結します。そのため、患者さんに親切で質の高い接遇をできる人が求められます。また、少ない職員の中で、同僚看護師やコメディカルと上手くやっていく協調性も必要です。

働く日と時間帯がしっかり決まるので、仕事とプライベートを両方充実させたい人におすすめです。規模は小さくとも看護師の仕事ですから、時給や日給の面で見劣りすることはありません 。(夜勤がないため、総額では病院勤務の看護師より少なくなる傾向はあります)

クリニックの看護師になるために必要なこと

休診日は決まっていますが、連休にしているクリニックはあまり多くありません(土曜日は午前中だけ診療など)。つまり、普通の週に連休を取るには同僚との調整が必要です。大病院などからの転職を考えている人は「休みが取りにくい」環境になることを理解しておきましょう。 多くの場合、面接はクリニックの経営者である医師と行うことになるケースが多いです。その場でできるだけたくさん質問をして、医師の人となりを知っておくことも大切です。

また、クリニック側が求めているスキルや1日の患者数など、実務に直結する内容もしっかり聞いておきましょう。同様に、同僚となる看護師やスタッフ、可能であれば院内の雰囲気などを尋ねてみるといいでしょう。クリニックはとても小さな職場です。人間関係はもちろん、初めに気になったところが解消されないままでは、働いていても息苦しさを感じてしまいます。 ご不明な点は当社のコンサルタントにお尋ねいただき、不安を払拭した状態で入職されるといいでしょう。

クリニックに転職する際のポイント

クリニックへの転職を望んでいる場合、地域医療を担うものとして誠実に働きたい意志が大切です。新しい知識やスキルを習得したいのであれば、自己学習をしながら謙虚に学ぶ旨を伝えましょう。経験のある科でも、初めての科でも、前向きな姿勢を示すことが共通のポイントです。

<志望動機例文>

■例文1:クリニックの特徴と自分の経験を一致させる

貴院の専門分野が○○であり、自分の臨床経験と一致すること、これからも学びを続けたい看護であることから応募いたしました。経験や知識は多少ありますが、貴院のやり方に沿った診療も早く覚え、看護師としていち早く役に立ちたいと考えています。

■例文2:自分が新たに覚えたい診療であることを伝える

貴院の科目は初めての看護経験ではありますが、以前から興味があり、ぜひ、いっしょに働かせていただければと思い、応募しました。先生の診療方法を一日でも早く覚え、私も看護師として地域医療のお手伝いができればと考えています。

■例文2: 患者さん一人一人と向き合いたいことを伝える

これまで勤めていた総合病院は、スタッフも病床も多かったため、一人の患者さんと向き合う時間が持てずにもどかしさを感じていました。そこで、患者様と長きに渡って信頼関係を作るクリニック診察に興味を持ち、経験を活かしたいと考えました。

■例文3:地域医療に興味があることを強調する

クリニック看護師は地域医療に貢献し、患者さんとの関わりが近いと伺います。総合病院では難しい、地域の方の支えとなれるようなクリニックの一助に自分もなれたらと考え、応募いたしました。

<自己PR例文>

■例文1:協調性をアピールする

前職では同期とともに後輩の指導等の育成に携わりました。後輩が成長する姿を見るのは喜ばしく、自分の声掛けで同期や後輩が生き生きすることを楽しく感じていました。貴院でも、持ち前の協調性を発揮し、スタッフの方々と良好な関係を作りたいと考えています。

■例文2:前向きな姿勢をアピールする

学生のころから事前学習が好きで、卒業後も初めて学ぶことは前もって調べて実務に活かせるよう行動していました。貴院での診療科目は初めての分野ですが、入職までに一通りのことは自分で学び、即戦力として働けるように精進したいと考えています。

転職成功者コメント

■決まった勤務時間で働きやすい

以前は病院に勤めていましたが、数ヵ月前にクリニックに転職しました。病院に比べると勤務時間が定められており、個人的には働きやすい環境だと思いました。

■子供の送り迎えができ生活にゆとりをもてた

自宅から近いクリニックで働いていますが、通勤時間が短くて生活にもゆとりができました。また、朝と夕方に子供の送り迎えができるようになって家族との時間がしっかち取れるようになり嬉しいです。

こんな人におススメ

クリニックによって異なりますが、クリニックで働く一番のメリットは、プライベートや家庭生活と両立しやすいところにあります。 夜勤がなく、残業も少なめ。クリニックによってはお盆や正月に長期休暇が取れるところもあります。 また、専門分野に特化して知識や経験を積みたいというナースさんからブランクからの復帰を検討しているナースさんまで幅広いニーズにこたえられる職場であり、安定した人気を誇ります。

また、下記のいずれかの考えに当てはまる方には特におすすめの職場です。
1.仕事とプライベートを両立したい方
2.専門分野の知識を身につけたい方
3.地域に根ざした看護を実現したい方
4.自分が主体となって働きたい方

クリニックは件数が多いため、自宅近くで長く働ける職場に出会える可能性もあります。ただし、クリニックは求人を非公開としている場合があるので、人材サービスへの登録がおすすめです。

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